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スポーツ栄養学<3> ◆砂糖(糖分、おかし)
今回は、厳密には「スポーツ栄養学」と言えないかも知れませんが、
最も身近なテーマの1つとして、砂糖(糖分、おかし)について書いてみたいと思います。
別に脅すつもりはありませんが、ちょっとでも気に掛けてもらえればと思って書きます。
一説によると、日本の子どもは、「世界一の砂糖摂取量」だと言われます。
欧米諸国の子どもたちは、年間10〜13kgのところ、
日本の子どもたちは、30kgとも、50kgとも言われます。
ちなみに、大人の砂糖摂取量に関しては、日本はそれほど高くありません。
さすがに昨今の生活習慣病の広がり、健康ブーム、ダイエットブームなどで
砂糖を控える人が多くなっているようです。
子どもたちに関して、そういう状況では、「糖害」を考えなければなりません。
(1)虫歯
(2)カルシウムの不足
(3)ビタミンB1の不足
(1)虫歯
虫歯は、噛む力を弱め、胃に負担をかけます。
これはスポーツにおいても無視できない話のようです。
とある国では、将来のオリンピック選手を選抜・育成する際、
虫歯のある子どもは対象外になる、ということがあるそうです。
虫歯持ちの子は、欧米諸国では40%ほどだそうです。
日本では、戦争の前後10年ほどは同じく40%くらいだったそうですが、
現在は90%を越えているそうです。
(2)カルシウムの不足
私たちの骨は、ご存知のとおり「たんぱく質」と「カルシウム」を主成分としてできています。
昨今、食の欧米化が進み、動物性たんぱく質が多く食卓に並ぶようになりました。
そのため子どもたちは骨の成長が促進され、背の高い子どもが増えました。
一方で、カルシウムが不足しているため、その骨が「もろい」といわれます。
すぐ骨折するのです。
この「カルシウム不足」、単なる摂取不足だけではなく、実は砂糖が関係しています。
砂糖は消化吸収され、さらに分解される過程で、体液・血液を酸性化する働きがあります。
(健康体は、弱アルカリ性)
その酸性化されようとする体液を、弱アルカリ性に戻すため、私たちの身体は自衛機能を発揮し、
体内のカルシウム分を使って中和させようとするのだそうです。
つまり、骨や歯に蓄積されたカルシウムが取り去られるのです。
カルシウムの効果を確認します。
・骨を丈夫にする
・精神を鎮静させる
→つまり、欠乏すると、神経過敏になったり、怒りっぽくなったり、イライラしたりします。
さらに、ノイローゼ気味になったり、便秘になったりもします。
また、身体の酸度が増してくると、
身体がだるくなる、肩が凝る、眠気におそわれる、気力・意欲を喪失する、などの症状が出ます。
(3)ビタミンB1の不足
砂糖はまた、消化吸収の段階で、大量のビタミンB1を費消すると言われます。
ここでビタミンB1の効果を確認します。
・脚気を予防する
・全身の活力や視力を維持したり、強めたりする
→つまり、欠乏すると、身体がしんどく、だるく、無気力な状態になります。
また仮性近視にもなりやすくなると言われます。
スポーツ、そして勉強において、「集中力がない」「根気が足りない」という症状が見られた場合、
それは単純に性格的、もしくは精神的なものだけが原因ではないかも知れません。
今まで毎日のように食べていたお菓子を、いきなりゼロにする、というのは難しいでしょうし、
その必要もないと思います。
あくまで「バランス」の問題です。
「1日おき」にするとか、少しずつ量を減らすとか、何かのご褒美のときにだけ出すとか、
栄養価の高いおやつ(ヨーグルト、フルーツなど)に替えるとか、…。
飲み物にしても、たとえば炭酸飲料や甘味飲料をやめて、
100%果汁ジュースや牛乳、スポーツドリンク、お茶に替えるとかするだけでも
だいぶ違うのかな、と思います。
要は「過度の摂取」「偏った食生活」「おやつの食べ過ぎでご飯が食べれない」
などといったことだけはないようにしてもらいたいと思います。
※参考文献 「見える学力、見えない学力」岸本裕史著 大月書店