前回の続きです。

前回は「モチベーション」というものを考えるにあたって、「厳しさ」と「楽しさ」

という、いわば相反するようなものの捉え方について問題提起してみました。

指導・教育をする際、皆さんは何を優先されていますか?


いろいろなご意見があると思います。どう考えればいいか。僕なりに考えてみました。

まず、「価値観」。この「価値観」によって、意見が分かれるのがまず1点あると思います。

「目的」とも言い換えられるかと思います。

「(子供・選手の)人生におけるスポーツの位置づけ」だとか、「スポーツに何を求めるか」などでしょうか。

これはどちらかというと、『子供・選手自身、もしくは親御さん側の視点』です。


そして次に僕が思うのは、「成長段階、上達段階、習熟段階」によっての使い分けが必要である

ということです。

こちらは、どちらかというと、『指導者・教育者側の視点』でしょうか。

企業経営(組織運営)において、さまざまなマネジメントスタイル・組織形態があり、目的や段階に応じて使い分ける、

ということと同じような考え方です。

マネジメントスタイルでいうと「ワンマン」「トップダウン」「ボトムアップ」…など、

組織形態でいうと「ピラミッド」「フラット」「事業部制」「プロジェクトチーム」「SBU」…などでしょうか。


まず初期段階(初心者)においては、「楽しい」が必要です。これが最大のモチベーションになります。

「憧れ、カッコイイ」みたいなものもあります。この辺は選手の年齢や性別によって、ですね。

たとえば小さい子は、他人への憧れよりも、自分が楽しいかどうか、のほうが重要、…などです。

そして年齢を経たり、技術的に自分自身の上達を実感するようになると、今度はより質の高い指導とかを求めるようになると感じます。

そうした段階においては、厳しい(もちろんただ怒ればいいというものではありません)指導、熱い指導などで

子供・選手のモチベーションが上がったりします。



つまり、どちらが正しいとか間違ってるとかではない、ということですよね。

どちらか一方だけ、というのは良くない、ということですね。

「楽しいだけ」でもダメだし、「追い込むだけ」でもダメ。

要は、その段階に応じた、より適切な“バランス”を考えること。

年齢・性別・その他いろんな要素を勘案し、その子・その時・その状況に合った形を選択すること。

それが大事なんだろうと思います。


教育者・指導者の皆さんにとっては、「そんなの当たり前」と言われる(思われる)方もいらっしゃるかも知れません。

確かに、「言われてみれば、そんなこと当たり前だ」と思えることでしょう。

しかし、その「当たり前」のことを、実践されていない指導者も少なくないのも事実です。

常に意識していないと、ついつい感情やその場の雰囲気に流されたりしてしまうことも多いと思います。

「当たり前のことを当たり前にやる」

基本的なことを、しっかり突き詰めて、納得するまで考え抜くということも時として必要なんじゃないかな、と思い、考えてみました。


最後に。名言を1つご紹介します。(出典;メールマガジン「今日の名言」)

★もし、世界に喜びしかなかったら、勇敢になるとか、

 忍耐強くなるとか、学ぶことは決してなかったでしょう。

 ヘレン・ケラー(教育家)