“チームワーク”と“個”とのバランス <1>

チームワークは、とても大切なものである。

社会において、人間は1人では生きていけない。

必ず、何らかの形で組織に属したり、組織との絡みがあったりする。

そうしたチームワークを、体験的に学ぶ機会として、バレーボールをはじめとする「スポーツ」は、

大変良い機会だといえる。

ただ、誤解を恐れずに言う。

「チームワーク」を過剰に信奉することは、「個」をつぶすことになりかねない。

チームワークを維持することばかりに気を取られると、「個」が見えなくなる。見なくなる。

いわゆる個性の強い、“凸凹(でこぼこ)”の人が集まった組織は、確かにまとめるのは大変である。

外から見ても、バラバラで、まとまりがないな、と見られたりする。

それを無理やりまとめる、比較的簡単な方法がある。

「チームワーク」を振りかざして、「個」を押さえ込んで、

“凸凹”を平らに均(なら)して、「見た目、まとまった感じ」を作ることである。

もちろん、それはそれで、必ずしも悪いとは言い切れない。

しかし、教育する側の人間、組織をまとめる側の人間としては、

ロボットの大量生産をしているわけではない。ロボット集団を作っているわけではない。

“個”1人1人を見てあげて、1人1人の将来を見据えて、それぞれを導いてあげるのが理想だと思う。

“個”を潰すことが、ある意味、まとめるためには「楽」なのだが、そこは決して楽をしてはいけない。


もちろん、逆もある。

“個”を重視しすぎることは、組織を乱すことにつながりかねない。これは言うまでもない。

だからこそ、バランスが必要なのである。“チームワーク”と“個”のバランスである。

その微妙なバランスを取ることは簡単ではないが、逆に、簡単にやろうとしてもいけない。


組織論的な視点で考えても、このバランスの取り方は、

組織の「目的」「構成メンバーの意向」「発展段階」などによって、違ってくる。


「個」を過度に重視するメンバーには「チームワークは大事だよ」と言わないといけないんだろうが、

「チームワーク」ばかりに目が行きがちなメンバーにも、「個も大事だよね」と言わないといけない。


まぁ、チームワークを意識しない人はあまりいないと思うので、「個も大事だよね」と

僕は意識して発言していこうかと思う。

ジュニアバレーに限らずだが、大事なのはクラブ(箱)ではない。クラブ(箱)ありきではない。

子供1人1人(中身)が大事なのである。

クラブは、1人1人の子供たちのためにあり、1人1人の子供たちのために運営するべきものである。



◆cielバレー塾
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