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スポーツ医学<1> 〜鼻出血〜
今回は、鼻血(鼻出血)について書きたいと思います。
僕はバレーボールに関わっているのですが、このバレーボールでも、例えばボールが顔に当たって、とか、
鼻血(鼻出血)が起こったりします。
結論から言うと、ほとんど全て、心配ないケースである、ということですが、
念のため、ごくわずかな可能性として、他の原因・症状についても、
見分け方なども含めて知っておいた方が、より安心だと思いますので、レアケースも含めて書いておきたいと思います。
●鼻血(鼻出血)の種類
大きく2つに分けると、「特発性鼻出血」「症候性鼻出血」があります。
「特発性鼻出血」
:病気が直接の原因でないもの。鼻をこすったり、鼻の中に指をいれたりする機械的刺激や
鼻を強くかむ、くしゃみ、咳などによる一過性の脈圧上昇によるもの。
鼻出血の約8割はこれです。
「症候性鼻出血」
:出血原因(疾患)の明らかな鼻出血。
アレルギー性鼻炎・急性鼻炎・慢性副鼻腔炎・鼻前庭湿疹、鼻副鼻腔腫瘍、
循環器疾患、血液疾患、代償性鼻出血、など。
以下、特に「鼻腔のなかの原因による鼻出血」ということで、主なものを挙げます。
・キーセルバッハ(Locus Kiesselbachi)部位損傷による鼻出血
キーセルバッハ部位とは鼻の穴に小指を入れると突き当たる柔らかい部分のことをいいます。
鼻出血の約8割の原因がキーセルバッハ部位の損傷であり、心配の必要のない鼻出血です。
キーセルバッハ部位は、血管が透けて見えるほど粘膜が薄く、血管・血流がとても豊富なため
非常に出血しやすい部位です。
鼻をほじることで損傷するだけでなく、刺激の強い食べ物、のぼせ、興奮、外部からの衝撃
などが原因で損傷し、鼻血が出てしまいます。
なお、ここからの出血が多量になることはほとんどありません。最も止血しやすい部位です。
・鼻咽腔粘膜炎症による鼻出血
鼻の奥にある咽頭上部の鼻咽腔にある粘膜が炎症を起こし動脈が傷ついてしまうことで
鼻血がでてしまいます。
高血圧や動脈硬化などで血管が細く弱くなっている高年齢層の鼻出血の原因が多いです。
動脈の損傷による鼻血ですので、出血量は多く口からも出てくることもあるため、
キーセルバッハ部位の損傷による鼻出血でないことがわかります。
・鼻腔ガンによる鼻出血
鼻腔にガンが発生しそれが原因で鼻血が出てしまいます。
鼻水の処理をしたときに血混じりの状態が長期間継続します。
・大気汚染による鼻出血
光化学スモッグといった汚染物質の多い地域では鼻出血しやすい人が多く、
原因は鼻粘膜の損傷が考えられます。
普段、私たちが遭遇する鼻出血のほとんどが、「特発性」「キーセルバッハ部位の損傷」の鼻出血でしょう。
適切な対応をすれば、特に心配のないものといえます。では、その対処法についての確認です。
●鼻出血の止め方
?上体を起こして椅子や床に座る姿勢をとり、背もたれにもたれ、顔をやや下に向け、
血液がのどに流れ込まないようにします。
?親指と人刺し指で鼻の下の方(小鼻)をつまみ、5〜10分ほど圧迫止血します。
この際、冷たいタオルや氷のうなどで鼻を冷やすと血管が収縮するので効果があります。
※上記の圧迫止血を20分以上行なっても鼻血が止まらない、何回も繰り返す、等の場合は、
耳鼻科へ連れていくことが必要です。
※ティッシュペーパーを鼻に詰めると、抜くときにまた傷をつけてしまう事があるため、あまりよくありません。
鼻に詰める場合はできれば柔らかい布や脱脂綿、ガーゼ等を使用し、あまり奥まで詰めない様にしましょう。
※横になったり、仰向けなったりすると、血液が喉の奥に流れ、吐き気をもよおしたり、
固まった血が喉をふさいだりすることがありますので避けましょう。
なお、もし血液がのどに流れ込んだ場合は、飲み込まずに吐き出しましょう。
※鼻血を出し切ってしまおうと、鼻をかんだりすることは、かえって出血を多くします。
※従来よく見られた行為で、頭を後ろにのけ反らせて首の後ろトントンと叩くことは、効果がないばかりか、
のどに血が流れて、かえって気分が悪くなるので避けましょう。
●見分け方
上記から、心配ないケースなのか、注意が必要なケースなのか、の見分け方について
まとめておきたいと思います。
(以下のどれにも当てはまらなければ、まずは安心、と考えられます)
・口からも出血していたりしないか
・出血量が極端に多くないか
・止血できたか(20分以上も止まらない、ということがないか)
・出血/止血を繰り返さないか